この記事では主に「野手」のWARについて説明しています。
セイバーメトリクスのデータ等は、デルタ社が算出して公開しているものを参考にしています。
WAR (Wins Above Replacement)
- 概要:同じ出場機会分を「代替え水準の控え選手」が出場する場合に比べて、どれだけチームの勝利数を増やしたかを表す指標。
- 計算方法:記事の下の方にて記載(ややこしいため)
野手の平均は1年間出場して2.0前後とされている。
こんにちは、てぃー(@th0m0m)です。
UZR(守備指標)やOPS(打撃力)などのセイバーメトリクス関係は、
少しずつ人気がでてきているようですね。
一般的にはまだメジャーにはなっていないものの、
指標の人気や認知度が高まってきている感じがします。
ファンとしては、プロ野球を観戦する視点が増えるのは大歓迎なわけで、
その中でも「WAR」は野球観戦を楽しむためにも知識に入れておきたい指標です。
計算方法は複雑でも、WARの意味そのものはすごく簡単。
一応計算方法もこの記事内にざっくり載せますが、
特に計算する機会はないと思うので、ざっと流す程度で大丈夫です(笑)
Contents
最近注目されている「WAR」の指標とはなにか?
同じ出場機会分を「代替え水準の控え選手」が出場する場合に比べて、どれだけチームの勝利数を増やしたかを表す指標です。
この言葉の通り、「その選手がどれだけチームの勝利数を増やしたのか」という意味になります。
例を見てみるとわかりやすいと思います。
- 近藤 健介→WAR:3.0
この場合、「代替え水準の控え選手」が出場する場合と比べて、
近藤選手が出場することによって「3.0勝」多くチームにもたらしているということになりますね。
逆に言うと、近藤選手を失って代替え選手が出場していたら3勝分失っている・・
という考え方になります。
WARについて:「代替え水準の控え選手」とは?
WARは「代替え水準の控え選手」が出場する場合に比べて、どれだけチームの勝利数を増やしたかを表す指標・・
ということですが、その「代替え水準」とは何を指すのでしょうか。
最小のコストで用意することができる代替え選手に期待される成績水準。
- 打者・・・wOBA(得点貢献度)で平均の0.88倍
- 投手・・・失点率で平均の1.39倍(先発投手)
※救援投手は1.34倍
wOBA(得点貢献度)については重要視される得点貢献度の指標「wOBA」とは?計算方法とその意味。で詳しく書いています。
MLBの算定では、代替え水準の選手のみで構成されたチームの勝率は、
約0.300程度となるとされているようです。
ちなみに6/21現在で楽天の勝率は0.359(23勝41敗1分)。
これに割と近い数値になりますね・・・
12球団WARランキング ※2018年6月21日時点
そうなんです。
WARは打撃面だけではなく、走塁、守備、投球も含め総合的に評価されている指標なんです。
だからこそ、セイバーメトリクスの貢献度評価としては究極的なものと言われ、
注目されているわけなんですね。
WAR(野手)の計算方法とは?
WARの計算方法について簡単に触れたいと思います。
ざっとなんとなく知っているだけで十分だと思いますね。
個人レベルでは計算することはないでしょうし・・・
WAR=打撃評価+走塁評価+守備評価+守備位置補正+代替え水準対比価値+投手評価
ちょっと式だけ見てもわかりにくいと思いますが、ようするに野手であれば・・・
打撃評価、走塁評価、守備評価に対して「守備位置の補正」と「代替え水準対比価値」を合わせたものとなります。
WARについて:「打撃評価」とは
打撃評価についてはwRAAという指標を使います。
wRAA (weighted Runs Above Average)
- 概要:同じ打席数をリーグの平均的な打者が打つ場合に比べてどれだけチームの得点を増やしたかを評価する指標
wRAAという指標はwOBAの数値に球場補正を行い、1.24で除して打席数を掛けるものとなっています。
打撃評価(wRAA)=(球場補正後のwOBA-リーグ平均wOBA)÷1.24×打席数
球場補正(パークファクター補正値)の計算方法はここでは割愛します。
WARについて:「走塁評価」とは
走塁評価は「盗塁」「盗塁以外の走塁」の部分でどれだけ平均的な走者と比べて優秀か・・を示す指標で表します。
詳しい計算方法はここでは割愛します。
※後日別記事と合わせて更新するかもしれません
WARについて:「守備評価」とは
当ブログでは、セイバーメトリクスの指標はデルタ社が算出して公開しているものを参考にしています。
デルタ社の守備評価を求める指標としてはUZR(守備指標)を使用しています。
UZR(守備指標)については守備を「指標」で評価ができる「UZR」とは?理解すると野球の楽しみが2倍に!で詳しく解説しています。
ということは・・UZR(守備指標)の数値が高くなればなるほどWARの指標も上がっていきます。
WARについて:「守備位置補正」とは
なんどか当ブログでも話題にあげたのですが、
UZR(守備指標)は各ポジションでの相対評価のため、
他のポジションのUZR(守備指標)と比較することはできません。
例えると、「ファーストのUZRとレフトのUZRを単純に数値で比較しても無意味」ということ
ということで、UZR(守備指標)をWARの指標に組み込むのであれば、
各ポジションごとに「補正」をしなくてはなりません。
これが「守備位置補正」となります。
守備位置補正
捕手・・・+18.1
一塁手・・-11.0
二塁手・・+6.9
三塁手・・-4.4
遊撃手・・+4.8
左翼手・・-8.9
中堅手・・-1.0
右翼手・・-4.4
DH・・・・-12.0
う~ん・・・ちょっと正直気になるところもあるような気がしますが・・
現時点ではこのようになっています。
WARについて:「代替え水準対比価値」とは
これは単刀直入に言うと・・・
どれだけ控え選手を出場させなかったか。
細かい計算式は割愛しますが、単純に「打席数が増えれば数値が上がる」ということだけ覚えておけば大丈夫でしょう。
WAR(投手)の計算方法とは?
投手のWARは「tRA(true run (allowed) average)」を使用しています。
tRAとは何かといいますと・・・
FIP(投手能力)の指標に加えて打球の種類まで計算をし、
失点阻止のパフォーマンスを評価する指標。
さらに球場環境による影響も考慮して補正をかけている。
※計算式は複雑なためここでは割愛します
FIPとは「与四死球・被本塁打・奪三振」という完全に投手責任となる部分のみで
計算される「投手能力」を表す指標です。
これに「打球の種類」を計算式に入れ、
パークファクター(球場による補正)を考慮したのが「tRA」となるわけですね。
2018年投手のWARランキング
参考までに2018年投手(規定投球回以上)のWARランキングです。
tRAという指標よりも、
FIP(投手能力)の指標の方が注目されているので、
そっちを見た方が良いかもしれませんね。
FIPが高くて投球回が多い場合はWARも高くなる傾向です。
FIPが高いということは・・・
- 与四死球が少なく・・
- 奪三振が多く・・
- 被本塁打も少ない
となるので当然ですけどね。
勝敗は「運」によるものが大きい・・
というのがセイバーメトリクスの考え方のため、
評価には影響されません。
まとめ
ちょっとややこしい部分もありましたが、まとめたら簡単です。
- WARとはどれだけチームの勝利数を増やしたか
- WARは貢献度評価の中でも究極的なものとされている
WARは今後知名度が上がってきそうな指標なだけに、覚えておくと面白いと思いますね。
投手についてはまた後日別記事で記載したいと思います。
ちなみに「セイバーメトリクス」ってなに?という方には、
こちらで詳しく解説しています。
理解しておきたい指標などまとめてありますので、
ぜひどうぞ。