2019年wRC+ランキングはこちらをクリックすると飛べます
セイバーメトリクスの指標は沢山ありますが、
その中でも最近打撃を評価する指標として注目されるこの「wRC+」。
日本では一部のファンの間以外では語られることがないと思いますが、
メジャーリーグの中ではかなり重要視されている指標です。
この「wRC+」という指標の意味ですが、
結論から言うと非常に単純です。
wRC+ (Weighted Runs Created Plus)
打席当たりの得点創出の多さを「リーグで平均的な打者は100」とした場合、
何パーセント得点を多く(少なく)創出しているか。
例をひとつあげてみましょう。
A選手・・・wRC+130
A選手はリーグ内の平均的な打者と比較して130%(1.3倍)得点を生産している。
どうでしょうか。
イメージつくでしょうか?
これは偏差値に似たものがありますかね~。
この記事では実際にNPBのランキングを見ながら、
もっと「wRC+」について詳しく解説していきたいと思います。
この記事を読むことでこんなことがわかります。
- 「wRC+」とは一体なんなのか
- 「wRC+」がなぜ重要なのか
- 「wRC+」の基準値
- 「wRC+」のランキングを確認できるウェブサイト
5分程度で読みおわる内容となってますので、
少々お付き合いください。
Contents
wRC+の2018年ランキング ※9月10日時点
ここでだらだらと解説を述べるよりも、
実際に各選手の数値を見ながらの方が面白いと思うので、
さっそくwRC+のランキングトップ10を見てみましょう。
見方は簡単です。
例えば柳田選手のwRC+は207となっています。
12球団トップの数値ですね。
これは、柳田選手の得点創出は平均的な選手と比較すると207%(107%ほど多い)・・という意味となります。
そして、注目したいのは単純にOPS順となるわけではないということです。
なぜでしょうか。
ちなみにOPSについては【野球】OPSは打者の攻撃力を計る指標!その計算方法と意味で詳しく解説しています。
wRC+では何を評価しているのか
wRC+の計算式は複雑なので後述しますが、
分解するとざっとこうなります。
- 出塁に対する評価 ※wOBA(得点貢献度)を使用
- 打撃による評価 ※wOBA(得点貢献度)を使用
- 球場による補正
計算式の元となっているのはwOBA(得点貢献度)になります。
ということは、wRC+の数値が高い選手というのは・・・
wRC+が高い選手 = 打撃能力・出塁能力が高い = 得点創出が多い選手
こうなりますね。
wOBAについては重要視される得点貢献度の指標「wOBA」とは?計算方法とその意味で詳しく解説しています。
OPSは少し長打を過大評価しすぎているから、
そこを少し調整したのがwOBA(得点貢献度)となります。
こちらの方が、より正確に打者の貢献度を測れる・・・
ということで、wOBA(得点貢献度)の指標が使われています。
その後、細かい計算をした後に球場補正値(パークファクター)をかけたものがwRC+となります。
イメージとしてはこんな感じでしょうか。
では球場補正値(パークファクター)とは一体なんなんでしょうか?
球場補正値(パークファクター)について
パークファクター (Park factor)
「本塁打」や「得点」など球場によっての各項目の偏りを表す数値指標。
参考元:wikipedia
どういうことかと言うと・・・
球場によって「本塁打がでやすい」「得点が多く入る」という違いがでてくるのは、
この記事を読んでいるあなたであれば想像がつくと思います。
極端な例を挙げてみましょう。
- A選手・・・本塁打30本 ※本塁打がでやすい球場が本拠地
- B選手・・・本塁打30本 ※本塁打が非常にでにくい球場が本拠地
はたしてこの場合、
2人の評価を同じにしてしまってよいのでしょうか?
こういった考え方から、
セイバーメトリクスではこのパークファクターを考慮して選手を評価する指標がいくつもあるわけです。
wRC+は「平均を100」とした相対評価の指標となります
そのままの数字では、
当然ですが打者有利な球場が本拠地の選手は有利となってしまい、
正確な評価ができません。
そのため、計算式の最後にパークファクターをかけるわけですね。
wRC+の評価基準値
wRC+の評価基準はこう言われています。
- wRC+160・・素晴らしい
- wRC+140・・非常に良い
- wRC+115・・平均以上
- wRC+100・・平均
- wRC+80 ・・平均以下
- wRC+75 ・・悪い
- wRC+60 ・・非常に悪い
比較しやすいように、再度wRC+ランキングを貼っておきましょう。
ついでにワーストランキングも貼っておきます。
wRC+の計算式と「wRC」について
wRC+の計算式も載せておきますが、
複雑なので「何から構成されているのか」程度を把握しておけば良いと思います。
- wRC+=(パークファクターを考慮したwRC÷打席)÷(リーグ総得点÷リーグ壮打席)
- wRC=((wOBA-リーグ平均wOBA)÷1.24+リーグ総得点÷リーグ総打席)×打席
するどいあなたならこう思ったかもしれません・・・
そうなんです。
wRC+とwRCは別の指標なんです。
wRC+を計算する際、wRCが使われます。
このwRCという指標、簡単に説明しますと・・・
打者が創出した得点数を表す指標。
数字が大きいほどチームに多くの得点をもたらしている打者と評価ができる。
打席数が多い選手ほどwRCを稼ぐチャンスが与えられることになるため、
打席数が違う打者同士の比較はできない。
wRC+は打者を相対的に評価ができる指標ですが、
wRCは打者がどれだけ得点創出を積み上げてきたか・・
という評価の指標となりますね。
ただ、一般的に打者評価の際はwRC+やwOBA、OPSを使うと思うので、
「こんなのもあったな・・」程度に覚えていれば良いのではないでしょうか。
2019年wRC+ランキング!上位20名
当然ではありますが、
上位にはズラっと長打力のある選手が並んでいます。
その中でも異彩を放っているのが日ハムの近藤選手です。
本塁打数は僅かに「2」。
長打力を示すISOの指標は0.098と明らかに劣っています。
なぜこの長打力で上位に食い込んでこれるかと言うと、
圧倒的な出塁率の高さです。
- 鈴木 誠也・・出塁率.453
- 近藤 健介・・出塁率.422
- 吉田 正尚・・出塁率.413
- 森 友哉・・出塁率.413
近藤選手の出塁率は12球団中2位の成績。
この高い出塁率がwRC+の成績を押し上げていますね。
また、当然ですがwRC+上位の選手は出塁率が高いですが傾向にあります。
セイバ-メトリクスの指標では「アウトにならない」ということは重要ですからね。
このあたりはまた別記事で詳しく取り上げていきたいと考えています。
wRC+の最新ランキングはどこで見ることができるのか
wRC+は現状日本ではマニアックな指標とされるため、
NPBのホームページなどでも見ることはできません。
しかも、計算式も複雑なので個人で算出も厳しいでしょう。
なので、おすすめはデルタ社が公開しているこちらのサイトです。
無料で規定打席数に達している選手の指標を見ることができます。
有料会員になると全ての選手のデータや、
個別のデータ等が見れてなかなか面白いと思います。
また、当ブログ(ファイターズドットコム)でも詳しくランキングを解説していますので、
ぜひチェックしてみてください。
まとめ
まとめますと・・・
「wRC+」は球場ごとの補正もされているため、平等な条件で打者を相対的に評価できる。
今後日本でも有名になってくる指標かもしれませんので、
しっかりと抑えておきましょう!